火山情報

2022年07月05日18時00分 発表

本日、第150回火山噴火予知連絡会において、前回(第149回、令和3年12月27日)以降の全国の火山活動について以下のとおり評価を行いました。
また、参考として気象庁が発表している噴火警報・予報(噴火警戒レベル)についても併せてお知らせします。

【火山活動の状況】
桜島
南岳山頂火口では、噴火活動が2021年9月以降わずかに活発化しましたが、2022年2月以降は活動が低下し概ね低調な状態で推移しています。
火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、やや多い状態で推移しています。
桜島島内の傾斜計、伸縮計及びGNSS連続観測では、2021年11月以降山体膨張を示す緩やかな地盤変動が観測されていましたが、2月下旬以降停滞しています。
また、GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部におけるマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びが認められていましたが、3月以降停滞しています。
姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部では長期にわたり供給されたマグマが蓄積した状態と考えられることから、現在噴火活動がみられる南岳山頂火口を中心に、噴火活動が今後活発化する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)発表中

諏訪之瀬島
御岳(おたけ)火口では、2020年10月下旬以降、活発な噴火活動が継続しています。
2021年12月中旬から2022年1月中旬にかけて爆発が増加したほか、4月上旬にも爆発が増加しました。また、火口中心から1km前後まで飛散する大きな噴石を多数観測しました。
噴火活動の活発化時に西上がりから西下がりの傾斜変動が観測されています。この変動は諏訪之瀬島西側のやや深部へのマグマの蓄積と御岳火口直下へのマグマの上昇を示唆していると考えられます。
地震活動と地殻変動では、2020年9月以降、やや深部におけるマグマの蓄積量の増加を示すような変化は認められません。
諏訪之瀬島では、長期にわたり噴火活動が活発となっており、今後も噴火が発生し、火口から概ね2kmの範囲に大きな噴石が達する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)発表中

西之島
気象衛星ひまわりの観測では、噴火は確認されていません。西之島付近の地表面温度は、2021年11月頃から周囲とほとんど変わらない状態となっていましたが、2022年3月頃から5月頃まで、周囲と比較してわずかに高い傾向が認められており、火山活動は継続しています。これまでの活動経緯を考慮すると、今後、火山活動がより活発化する可能性も否定できません。
【参考】火口周辺警報(入山危険)発表中

焼岳
5月23日から6月上旬にかけて山頂付近を震源とする微小な火山性地震が一時的に増加しましたが、この活動に伴う表面現象や地殻変動の変化は認められませんでした。
しかしながら、GNSS連続観測では、山頂付近での緩やかな膨張の可能性のある変化は継続しており、焼岳周辺では数年おきに震度1以上を観測する地震を含む活発な地震活動がみられることから、中長期的に焼岳の火山活動は高まってきている可能性があります。今後の火山活動の推移に注意が必要です。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

霧島山
霧島山では、2022年3月末から広範囲で地震活動がみられています。
3月31日から4月7日にかけて、えびの岳付近(硫黄山の西南西3kmから4km付近)を震源とする火山性地震が増加しました。
また、大浪池付近や甑岳付近でも一時的な火山性地震の増加がみられています。
広域のGNSS連続観測では、霧島山の深い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられています。
霧島山深部にはこれまでに多量のマグマが蓄積されていると考えられ、広範囲の地震活動もみられることから、今後の火山活動の推移には注意が必要です。

えびの高原(硫黄山)周辺
硫黄山南側の噴気地帯では、活発な噴気活動が続いています。硫黄山の西側500mの噴気地帯では、2021年12月以降噴気活動が時々みられています。
硫黄山及び周辺の地熱域や噴気活動の顕著な拡大や活発化は認められませんが、硫黄山の南側の噴気地帯及び硫黄山西側から南西側の一部の領域では、地熱域のわずかな拡大が認められます。
硫黄山付近では、火山性地震は概ね少ない状態で経過していますが、2022年4月中旬頃から5月上旬にかけてやや増加しました。
干渉SARによる地殻変動観測では、2022年4月頃より硫黄山付近がわずかに隆起する地殻変動が認められますが、GNSS連続観測では、硫黄山近傍の基線において火山活動に伴う特段の変化は認められません。
現時点では噴火の兆候は認められませんが、火山活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

大幡池
火山活動に特段の変化はなく、現時点では噴火の兆候は認められませんが、火山活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

新燃岳
新燃岳では、火口直下を震源とする火山性地震が2022年3月27日に多い状態となりました。その後、火山性地震はやや多い状態で経過していましたが、5月中旬以降は多少の増減はあるものの減少傾向がみられています。
新燃岳西側斜面の割れ目では、2022年1月31日以降噴気が認められており、2月に入り割れ目付近において地熱域の拡大が認められましたが、その後特段の変化はみられていません。
火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は検出限界未満で経過しています。
GNSS連続観測では、2021年12月以降、霧島山の深い場所でのマグマの蓄積を示すと考えられる基線の伸びがみられています。また、2022年4月頃から、新燃岳付近の膨張を示すと考えられる基線のわずかな伸びが認められています。
火山活動がやや高まった状態となっており、今後の活動の推移に注意が必要です。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

御鉢
火山活動に特段の変化はなく、現時点では噴火の兆候は認められませんが、火山活動の推移に留意が必要です。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

薩摩硫黄島
火山性地震や火山性微動の発生状況に特段の変化はありません。火山ガス(二酸化硫黄)放出量は1日あたり1,000トン前後の状態が継続しており、時折噴煙が高くなるほか、夜間に火映を観測しています。長期的には熱活動が高まった状態が続いていることから、硫黄岳火口周辺に影響を及ぼす程度の噴火が発生する可能性があります。
【参考】火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)発表中

噴火浅根
気象衛星ひまわりで3月27日から28日にかけて、噴火浅根付近からの噴煙と思われる雲域を観測しましたが、その後の上空からの観測では噴火の痕跡等は確認されませんでした。噴火の詳細は不明で、気象要因の雲である可能性も否定はできません。
【参考】噴火警報(周辺海域)(周辺海域警戒)発表中

御嶽山
2月23日に、火山性地震の増加及び地殻変動を伴う火山性微動を観測しましたが、地震活動は3月中旬以降、概ね2月23日以前の状態まで低下しました。GNSS連続観測では2月下旬から山体膨張を示すと考えられるわずかな伸びの変化が認められましたが、4月以降、停滞しています。上記の活動は、2014年以降火山活動が低下するなか、一時的な活動の高まりであったと考えられます。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

阿蘇山
中岳第一火口では、2021年10月21日以降、噴火は発生していません。
火山性微動の振幅は2021年10月の噴火以降、時々大きくなるなど不安定な状態で経過しましたが、2022年5月以降は概ね小さい状態で推移しています。火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は2021年10月に増加した後、減少傾向にあります。GNSS連続観測では、2021年9月頃から草千里付近の膨張を示すと考えられる基線の伸びが認められていましたが、12月頃から停滞しています。
阿蘇山では、2021年10月の噴火以降の観測データは静穏化を示しており、火山活動は低下しています。
一方、中岳火口浅部の活動に一時的な高まりは認められますので、今後も火口内では、土砂や火山灰が噴出する可能性があります。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

口永良部島
新岳火口では、2020年8月30日以降、噴火は観測されていません。火山性地震は2022年3月中旬に一時的にやや増加しましたが、少ない状態で経過しています。火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、2021年6月以降は1日あたり概ね50トン以下と少ない状態です。GNSS連続観測では、特段の変化は認められません。
口永良部島では、火山活動は低下しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火が発生する可能性は低くなったと考えられます。
【参考】噴火予報(噴火警戒レベル1、活火山であることに留意)発表中

【防災上の警戒事項等】

詳細な情報は次をご覧下さい。
miyazaki-pref.site.ktaiwork.jp/


【宮崎県危機管理課】